O hirunewani blog

傍から見たスクラム

Created at

スクラムについて漠然として自分が思っていることをある程度まとめたもの。

私とスクラム

過去にスクラム開発を称する組織で働いた経験は数回あるが、いずれも1年未満である。 また、現在所属している組織のいずれでも属人的または単発の業務が主であり、チームには所属していない。

そのため、以降の内容は実際の経験に基づいておらず、あくまで傍から見たものである。

短期的にスクラムに効果があるか

いくつかの組織のパフォーマンスを継続的に計測している。

ある組織ではスクラムを導入した結果、すぐに全体の作業量が3割増加し、その状態が年単位で継続した。

ただし、これはスクラムの効果というより、タスクが適切に管理されるようになったことによる影響ではないかと思う。

そもそもアジャイルは開発スピードを向上させるものではないため、短期的には効果のない方が自然であるように感じる。

長期的にスクラムに効果があるか

正直に言うと、傍から見ているだけの立場では、あまり実感がない。 また、単純な作業量などの指標では、年単位で見ても全体として劇的な変化は観測できておらず、組織によっては減少傾向にある場合もある。

ただし、スクラムがうまく運用できていると自負しているチームの雰囲気は良く見えるし、短期的に参加すると、とても仕事がしやすく感じる。

加えて、ユーザーに価値を提供する機能のリリース頻度は、スクラム導入前後で数倍に増加するか、スクラムを導入している組織では導入していない組織に比べて明らかに高い。ただし、これが常に良いことなのかは不明である。

スクラムに効果があるか

短期的には、タスク管理が行われていないなど、根本的な問題を抱えている組織ほど劇的な効果が期待できるように思う。

一方、次のような組織では、目に見える効果はあまり期待できないと考えている。

  • タスクを適切に管理している。
  • チームで協調して取り組んでいる。
  • 定期的に進捗を計測し、アウトプットのフィードバックを受けながら改善を行っている。

スクラムである必要はない

多くの組織は、程度の差こそあれ問題を抱えていると考えられる。そのため、確立されたフレームワークを提供できるスクラムには一定の価値があると思う。

しかし、すでにうまく回っている組織ではスクラムを導入する必要はなく、問題なく機能しているのであれば、スクラムにこだわる理由はない。少なくとも、チームで協調しながらタスクを進め、自己改善も行えている組織であれば、スクラムを導入するメリットは薄いだろう。

むしろ、スクラムを導入したことで組織が問題を抱えてしまったケースも知っているため、一概に推奨はできない。

「あなたは正しくやっていない」

スクラムのコミュニティでは、スクラムに不満を持つ人に対して「あなたは正しくやっていない」といった発言が散見されるように思う。

確かにその通りかもしれないが、スクラムを見よう見まねで導入した組織ならともかく、認定スクラムマスターが導入した組織に対してそのような発言をするのは適切なのか疑問である。

認定スクラムマスターが導入してもうまくいかなかった事例が複数あるなら、それはスクラムの問題とされても仕方がないように思う。少なくとも「あなたのチームのスクラムマスターが正しくない」という指摘の方が適切だろう。

また、正しくないスクラムマスターのもとでスクラムに不満を抱えた人に「あなたは正しくやっていない」と言えば、二度とスクラムを受け入れなくなってしまうのではないか。彼とスクラム、どちらも悪くなかったのに。

スクラムがうまくいかなかったケース

これまでに、スクラムを導入したことで組織がうまく回らなくなったケースをいくつか見てきた。 「うまく回っていない」とは、例えば次のような状態を指す。

  • チームが協力しておらず、タスクがほぼ個人ワークで消化されている。
  • ゴールを達成できていることがほぼない。

私が見てきたケースでは、スクラムマスターに問題があると感じることが多かった。具体的には次のようなケースがあった。

  • スクラムの導入を強制していた。
  • コミュニケーションに問題があり、信頼関係を築けていなかった。
  • スクラムに否定的なメンバーを放置していた。
  • スクラムがうまくいかない原因を、メンバーの問題と決めつけていた。

自分がスクラムを導入するなら

感覚的にも、実際の計測データを見ても、スクラムには一定の効果があると考えている。

ただし、スクラムがうまくいくかどうかは、スクラムマスターの質に大きく依存するように感じる。

もし自身が管理する組織にスクラムを導入するなら、そのスクラムマスターのこれまでの評判を十分に調査した上で依頼したい。